金融機関・資本市場からみたサステナブル・ファイナンス
■資本市場はサステナビリティをどのように解釈しているのか
企業価値は将来キャッシュフローの割引現在価値なので、企業が将来にわたって存続し、CFを生み出すことが企業価値に直結する。サステナビリティに取り組んでいる企業と対策のない企業ではCFを生み出す期間に違いが出るため、サステナビリティは企業価値に直結すると市場は判断する。またそれは業種により異なる。
■企業価値を変化させるサステナビリティ要素はどのようなものか
バランスシートを変化させる可能性のある要素としては、たとえば気候変動による物理的リスクがあり、一方キャッシュフローを変化させる可能性があるのは炭素税などがある。物理的リスクについて具体的な対策を掲げる企業ほど、そのリスクを管理できていると考えられる。カーボン・バジェットにより排出できるGHG量に上限があり、それを資本市場では既に織り込んでいる可能性がある。
■サステナブル・ファイナンス(債券)市場
債券の分野では、資金使途をサステナビリティを改善するためと明らかにするサステナビリティ債券の発行が増加している。資金使途によってグリーンボンドやソーシャルボンド等に分けられる。一方、事前に企業が設定したサステナビリティに関するターゲットの達成状況に応じてクーポン条件等が変化するサステナビリティ・リンクト・ボンドの発行も増加している。
2023年12月21日(木)午後7時~東京理科大学 1号館 17階 記念講堂にて
大町興二(おおまち・こうじ)氏
シティグループ証券で投資銀行・法人金融部門におけるESG/サステナビリティ関連業務を責任者として統轄する一方、2020年よりシティ・ジャパン全体のESG/サステナビリティ責任者も務める。S&P Global Sustainable1日本ヘッド
ファシリテーター
内 誠一郎(ウチ セイイチロウ)氏 ESGネットワーク 理事