企業価値向上のためのESG経営
■ESG投資の基礎
ESGの広がりの背景には、世の中の大きな変化がある。ESG投資とは外部不経済を市場の中に取り入れて解決しようという動きであり、長期で企業価値に影響するから投資家も重視する。利益か環境か、という対立軸で考えるのではなく、環境を考慮しながらいかに企業価値を高めるかと考えなければならない。
■気候変動とダイバーシティ
ESGリスクの中でも気候変動は特別なものであり、システム全体を損なうシステミック・リスクであり、個別企業の競争力の問題ではない。気候変動は全員が協力して解決しなければならない。また、非常に誤解が多いのがダイバーシティであり、現在のように変化が速く複雑な環境においては、多様な視点を持つことが競争力になる。
■ESG経営と企業価値の関係
企業価値とはキャッシュフローの割引現在価値であり、ESGは分子(キャッシュフロー)と分母(資本コスト)の両方に大きな影響を与える。キャッシュフローに対しては、消費者嗜好の変化や環境規制、資源調達など多くのESG要素が影響する。そのため、ESGリスクに弱い企業の将来キャッシュフローは当てにならない。資本コストに対しては、ESGリスクに対して脆弱な企業はリスクが高いと判断され、資本コストが上昇し、企業価値が下がるという関係にある。
内 誠一郎 氏
東京証券取引所を経て、現在、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社にて投資戦略部部長 セルフインデックス・ESG事業推進。ESG投資やパッシブ運用に関する講演や論文・コラム等多数。